「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)【テキスト版】

(1)横断的事項

 

イ. 子どもの権利の保護・促進

 

(既存の制度・これまでの取組)

 

 これまでの取組として、政府は人間の安全保障基金や国際機関への拠出等を通じ、児童労働の撤廃につながる教育や人身取引(性的サービスや労働の強要等)対策といった分野の取組を支援してきた。また、JICAの技術協力や様々な国連機関への拠出を通じ、主に東南アジア諸国の人身取引対策及び被害者保護の強化に向けた取組を支援してきた。さらに、政府は、人の密輸・人身取引及び国境を越える犯罪に関するアジア・太平洋地域の枠組みである「バリ・プロセス」への拠出・参加等を行ってきているほか、「オンラインの児童性的搾取撲滅のためのWePROTECT世界連携」にも参画してきている。加えて、日本が議長国として取りまとめたG20大阪首脳宣言及びG20労働雇用大臣会合大臣宣言において、児童労働等を根絶することへのG20のコミットメントを再確認した。これらの取組に際しては、女性や少女が被害者に多く含まれていることを踏まえ、ジェンダーの視点にも十分に留意している。

 国内においては、「子どもに対する暴力撲滅パートナーシップ(GPeVAC)」のパスファインディング国(参加国)として、市民社会及び企業等と共に「子どもに対する暴力撲滅行動計画」の策定作業に着手している。同行動計画は、「子どもパブコメ」を通じて得られた子どもの意見を尊重し、策定作業に取り組んでいる。また、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成20年法律第79号。以下、「青少年インターネット環境整備法」という。)及び基本計画に基づき、関係府省庁が協力して、フィルタリング等青少年保護に係る取組の充実等、青少年を取り巻くインターネット利用環境の整備に取り組んできている。さらに、東京2020大会までを視野に、「子供の性被害防止プラン」に基づき、児童買春、児童ポルノの製造等の子どもの性被害の撲滅に向けて取り組んでいる。

 

(今後行っていく具体的な措置)

 

(ア)人身取引及び性的搾取を含む児童労働撤廃に関する国際的な取組への貢献

  • 「バリ・プロセス」への拠出・参加を含む国際社会等との協力の下、JICAの技術協力や様々な国連機関への拠出を通じた、ジェンダーの視点も踏まえた人身取引対策及び被害者保護の強化に向けた取組を引き続き支援していく。【外務省】
  • 国際機関等への拠出を通じた、児童労働の撤廃に向けた取組の支援を引き続き行っていく。【外務省、厚生労働省】

(イ)旅行業法の遵守を通じた児童買春に関する啓発

  • 旅行業法(昭和27年法律第239号)の遵守を通じた児童買春に関する啓発及び、旅行業者が児童買春を目的とするような不健全旅行に関与しないよう旅行業法に基づく立入検査を引き続き実施していく。【観光庁】

(ウ)「子どもに対する暴力撲滅グローバル・パートナーシップ」を通じた取組

  • 「子どもに対する暴力撲滅行動計画」の着実な実施を通じ、性的搾取等を含む国内の子どもに対する暴力撲滅に取り組んで行く。【内閣府、警察庁、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省】
  • 「子どもに対する暴力撲滅基金」の人道分野への関与を通じ、海外における子どもに対する暴力をなくすための取組を推進していく。【外務省】

(エ) 関係業界・団体への「子どもの権利とスポーツの原則」の周知・啓発への協力

  • 国際会議での発信や、地方公共団体、学校、スポーツ団体等への本原則の趣旨の周知・普及啓発への協力を行っていく。【スポーツ庁、外務省

(オ)「子どもの権利とビジネス原則」の周知への協力

  • 関係機関等への本原則の趣旨の周知への協力を行っていく。【内閣府、外務省】

(カ) 青少年の安全・安心なインターネット利用環境整備に向けた施策の着実な実施

  • 「青少年インターネット環境整備法」及び「青少年インターネット環境整備基本計画」に基づいて、青少年の安全・安心なインターネット利用環境の整備に向けて引き続き取り組んでいく。【内閣府】

(キ)「子供の性被害防止プラン」に基づく施策の着実な実施

  • 国民意識の向上及び国民運動の展開並びに国際連携、被害に遭うことなく成長するための児童及び家庭の支援、ツールに着目した被害の予防・拡大防止対策の推進、被害児童の迅速な保護及び適切な支援、取締りの強化と加害者の更生、被害に遭わない社会の実現のための基盤の強化に引き続き取り組んでいく。【内閣府、警察庁、総務省、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省】